ピース 9

目を覚ました時には、何もかもが終わっていた。
俺に付き添っていたのは、元妻。
そして、加害者の娘。
俺が会いたかった人ではなかった。
「茉莉、莉子…」
「ごめんなさい。
彼女達は、呼んでいないの。
父があんなことをしでかしてしまって、貴方と彼女達を巻き込まないようにすることしか考えられなかった。
父が警察に捕まったと電話が鳴ったとき、私は一時帰宅をしていたの。
その時に、離婚したことを言った。
そうしたら、父はふらっとどこかに出かけてしまった。
すべては、父が招いた出来事。
もう二度と貴方の前には現われないから。
あなたに迷惑はかけないから。
本当に、ごめんなさい。」
トントン――、病室をノックする音。
返事をしてみると、警察だった。
事情聴取だった。
一通り聞いて彼らは満足し、帰っていった。
元妻も。
ドクターと看護婦が様子を見にきて、傷の状態を詳しく説明する。
しばらくは、入院生活が続くという。
事件当初に着ていた服、持ち物を渡される。
携帯電話は、衝撃で落としてしまい使い物にならなくなっていた。
「茉莉」
会えない寂しさと、暇な入院生活。
自分のやるべきことをメモにする。
会社に辞表を出す。
もうすでに、このことは広まっているだろう。
俺が辞表を出すまでもないかもしれないが…。
茉莉と莉子に会う。
そして、もう終わったんだと言って迎えに行く。
そう思ったのに、彼女の父親が俺を見舞いに来た。
うちの社長を伴って。
「茉莉も莉子も会いたがっていたが、駄目だと言って置いてきた。
気分はどうだい?」
「大丈夫です。」
「そうか…。
君をうちの社に引き抜くことに決まったよ。
もう、ずっと前から決まっていたんだが…、こいつが首を振ってくれなくてな。」
「俺は、君に最悪な環境で仕事をさせていたんだな。
まさか、君が茉莉の恋人だとは思っていなかったよ。
茉莉は、君の事を想っていた。
息子が、茉莉に付き合って欲しいと言った時も、莉子の父親しか愛せないといわれたんだ。」
「今日から、自宅で治療に専念するよ。
茉莉も莉子も会いたがっている。
許可は取ってあるから。
いくぞ。
それにここには、彼も入院しているんだ。」
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ピース
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