ピース 5
「ただいま――」
そう言って帰ってきた孫。
孫の嬉しさをいっぱいにした表情と娘の表情は正反対だった。
なにかあったのかと、聞こうとすると莉子は、
「さとしくん。
あのね、りこのパパにあったんだよ。
それでね…。いっしょにゆーえんちにいってきたんだよ。
パパね、たかいたかーいしてくれて、りこのことだっこしてくれていたの。
すーごくたのしかったの。
でも、ママはかなしいおかおしてたの? なんで…?
いつも、パパのしゃしんみてつらそうにしているから、あえてうれしいんだとおもうんだけど。
なんで。」
そう言って、抱っこをせがんだ孫。
その言葉で何が起きたのか分かってしまった。
5年前の出来事を…。
茉莉の恋人であった男のことを…。
俺は、そいつが憎かったが、何もできない自分に腹がたった。
俺は、妻と恋愛結婚だったし、茉莉にも同じように恋愛をして結婚をしてもらいたかった。
急に荷物をまとめて戻ってきたのは茉莉だけで子供ができた、
でも相手の人とは、結婚できないとしか言わなかった。
元々、茉莉が俺の親友の会社で働くことをよしとしていなかった。
探偵を雇い相手を調べた。
妻の雪乃は、俺のその様子をただ黙ってみているだけだった。
探偵からの報告書で明らかになる真実。
相手の男は、身動きを取れない状況下にいた。
そして彼の上司――、茉莉の恋人大谷蓮の妻となった人の父親は、
茉莉を脅してまで娘と結婚させていた。
自分がでれば、茉莉とその恋人が元の鞘の戻ることは簡単だった。
だが、茉莉には権力をかざして人を従わせることはいけないとまで教え込んでいたのだから。
なにもできなかった。
ただ定期的に大谷蓮のことを報告させていた。
孫がうまれたとき、俺は大谷蓮に会った。
取引先の社長として。
その時、彼との自己紹介のときに名前を言ったら、 まつり…とつぶやいたのを聞き逃さなかった。
彼の中に茉莉が存在していた。
その後も、彼と付き合いは続いていた。
プライベートを話すことはなかったが、かなりの割合で彼は酔いつぶれ妻ではない人の名前をつぶやき謝る。
その名前は、茉莉――。
俺の娘の名前――。
そこで、俺は賭けにでた。
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ピース
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