ピース 4





私と蓮の大切な娘――、莉子(りこ)
蓮と別れてからも、この子を手放すことはできなかった。
蓮の結婚話が浮上してすぐ妊娠していることに気がついた。
でも、伝えられなかった。
蓮は、上司と私の間で板ばさみとなって苦しんでいたから…。

実家に帰り、親に妊娠していることを告げると喜ばれた。
でも、相手のことを聞かれ、答えられない私に詰め寄る両親。
まさか、自分の娘がシングルマザーになるとは思っていなかったのだから。

それでも、どうしても蓮と一緒になれないことを伝える。
父親は、会社のトップだったからそんな脅迫なんて関係ないと言っていた。
元々、勤めていた会社は父親の友達の会社だったから、社内の情報が伝わっていたんだと思う。

父は、蓮のことを調べた。
そして、納得してくれた。
なぜ、父が納得してくれたか分からなかった。

子供の名前は、父がつけたいといっていたが私は蓮が言っていた名前をつけた。
彼に子供がうまれても絶対つけない名前を…。
莉子と…。

茉莉の莉を使って、かわいらしい名前にしたいといっていた蓮。
子供がいることを知らなくても、彼とはつながっている気がした。

彼と過ごす日は、楽しくて、昔に戻ったようだった。
でも、この関係は不倫――。
決して超えてはいけないボーダーライン。

そんなある日、蓮に莉子の存在がばれてしまった。
そう、莉子と一緒に買い物に行っている時に。
偶然、会ってしまった。
でも、彼は全然驚いていなかった――。

彼は、もう前から知っていたのだ。
莉子のことを抱き上げて、
「君のパパだよと――。」

でも、莉子は蓮のことを知っている。
私の部屋には姿をけす前に行った旅行での蓮との写真が飾ってある。
そして、父親は、他の人と結婚していて絶対に会えないとも言ってあったし、
莉子のことを知らないと伝えてあったのだから。

私達の前に姿を現した蓮に
「パパってよんでいいの?」
という莉子の言葉に、
「そうだよ。僕のことをパパと呼ぶのは莉子だけだから…」
そう言って莉子を手馴れたように抱き上げた。

莉子の嬉しそうな声、表情に私は苦悩する。
あの時――、
どうして蓮の前から逃げ出してしまったのだろうか…?
逃げ出していなかったら…と思わずにはいられない。
時は、戻らない。
でも、失われた家族のピースがうまっていく。

そして、ピースは集まりつつあった。


ピース