ピース 3
携帯電話…。
唯一、俺と茉莉を繫ぐもの。
茉莉と再び再会した事によって俺の中で気持ちが溢れだす。
新しく購入した2台の携帯電話。
それも色違い。
俺と茉莉だけの。
いつも呼び出すのは俺からで…。
よほどのことがない限り会ってくれる。
茉莉は、何を思って俺と会ってくれるのかは分からないが…。
俺の左手の薬指には指輪が。
彼女の左手には俺が買ってプレゼントしたピンキーリングが…。
この5年の空白をお互いに知ろうとしない。
辞表もだしていなくなった彼女は今どんな仕事をしているのだろう。
土日に誘うと会えないと返事が返ってくる。
いつも会った後、その場で別れるから彼女が今どこに暮らしているかも分からない。
茉莉と会うようになってから3ヶ月、習慣となった妻への見舞いの帰りに偶然にも茉莉を見つけた。
小さな女の子の手をつないで…。
今となっては、見間違いだったのかもしれない。
俺は確かめられない。
でも、間違えるはずがない。
その女の子は、俺の妹の小さい頃にそっくりだったのだから…。
彼女は、俺の子供をうみ、育てていたんだ。
俺は、その事実に驚きはしたが、俺の血のつながった娘がいるだけで…、嬉しかった。
茉莉は、俺と妻の間に子供がいると思っているだろう…。
付き合っていた時に、子供はすぐにでも欲しいと話していたのだから。
実際は、妻とベットさえ別だ。
俺は、妻と結婚したことで茉莉を裏切り、彼女がどんな生活をしていても介入できないのだ。
茉莉からの手紙は、
"伝えられない言葉がいっぱいあるのは心残りだけど…。 "
と書いてあったのだから…。
それは、子供のことしか思い浮かばなかった。
なぁ、茉莉…、
今なら俺は守れるほどの男に成長できている。
俺たちの子供は、なんていう名前なんだ――?
昔、こんなことも話していた。
茉莉は、まだ結婚は考えられないと言っていたけれど…。
俺は、女の子なら、茉莉の莉を使った莉子(りこ)
男の子なら、隼(はやと)
だから、俺たちの間の子供の名前は女の子だから…莉子だろ。
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