
マリーゴールド
スクスクとお腹の中で成長する我が子。
安定期になり、お腹も少し目立ってきた。
ふふふ。
こんなに幸せでいいのかしら?
さてと、買い物に行きますか。今日から4日間と2人きり。
義母・義父は揃って、3泊4日で旅行に出かけた。
夕飯何にしようかな?
とにかく、財布、タオル、飲み物を鞄に詰めて車に乗った。
日用品が安く、かなり買い込んでしまった。
漸く、食料品を見繕っていると、前から見覚えのある人が篭を持っていた。
けれど、こんな真昼間にOLである彼女がいるはずがないと思って気にしなかった。
だから、真剣に食材を選んでいる間に向けられた視線に気づかなかった。
その日、誠司が帰って来た時の表情が暗くても仕事で嫌やことがあったとしか思えなかった。
まさか、彼女が夏休みに突入しているなんて知らなかったから。
次の日も、買い物に出掛けた。
その日は、“七瀬さん”という妊婦の人に声をかけられ食事の事や、旦那様の事を話して、色々な情報を得た。
まさか、その“七瀬さん”が、京だなんて思いもしなかった。
だって、彼女の面影が全くなかったから。
気がついた時、私は病院のベットの上にいた。
そして、私は、自分の失敗を知った。
お腹の子どもは、無事とはいえ階段から突き落とされたのだから。
私は、彼女が突き落とした時の嫉妬で狂った醜い顔を見てやっと悟った。
親友と思っていた京はドコにもいないと…。
彼女の側にいてはいけない。
私は、ここにいないほうがいい。
京を刺激させてしまう存在でしかないのだから…。
誠司と戦うどころか、彼を危険にさらしてしまう存在でしかない。
病院に駆けつけた誠司は、真っ青だった。
きっと、自分の所為にして苦しむだろう。
何も言わずに抱きしめてくれた彼の腕が震えているのに気がついた。
「ゴメンナサイ」
ただ、その言葉しか思いつかなかった。
その言葉を聞いた彼は怒りを露わにした。
SIDE 誠司
有賀さんが、休み中だということを知った時、もう少し用心するべきだった。
彼女の同僚の話だと、イギリスに旅行する話だったから、安心していたんだ。
彼女は、日本にいない。
麻里は、安全だと勝手に安心していた。
それなのに…。
今日の仕事の目処がつき、定時に帰れると思っていた時携帯がなった。
普段、仕事中には絶対かけてこない麻里からの電話だった。
急いで場所を移して、電話に出ると男の声だった。
まさか、彰か…。
そう思ったが、予想を超えた所からの連絡だった。
その電話を切ると、側にいた主任の理人さんに事情を話し早退させてもらった。
電話をくれたのは、家から少し離れた総合病院で麻里が階段から突き落とされて
搬送されたということで、早く病院に来て欲しいということだった。
電車が中々来なくて苛つき、駅を降りてからひたすら走った。
焦る思い、一番不安なのは麻里なのに…。
麻里の病室に着いた時、真っ青だったのだろう。
俺は、自分の用心の足りなさに嫌気がさした。
何も言わずに抱きしめるしかなかった。
でも、身体の震えは止まらなかった。
「ゴメンナサイ」
麻里の言葉は俺にとって怒りを露わにすることでしかなかった――。
なぜ、お前があやまるんだ。
俺が全て悪いんだ。
全てを守ると誓ったのに…。
コンコン。
「失礼します。
警察ですが…、事情を聞きたいのですが…。」
俺も、どうしてこんなことになったのか、分からなかった。
だから、麻里に聞こうと思っていたところだった。
電話でも、「突き落とされて搬送された」と言っていた。
場所が場所なだけに、目撃していた人でもいるのだろうか――?
その疑問は、麻里の説明で全て明らかとなった。
俺たちは、警察にコレまでの経緯を全て話さなくてはならなかった。
用心するに越したことがないということで、家の中を調べてもらった。
すると、盗聴器がいくつも仕掛けてあることが分かった。
どこにいても、俺たちは安全ではないのだ――。
警察の介入によって、被害が拡大しなければいいけど…。
調べたところ、彼女は今は日本にいないことは確認済み。
だから、盗聴機を外されても…わからないはず。
でも、どうやって仕掛けたんだ?
そこがわからない……、いくら考えても。
警戒していたから、人を呼ぶようなことはしなかった。
だから、解らない。
いつ、どうやって、誰が!!!
そんなことより、やるべき事は沢山ある。
麻里をどうするか−−?
俺が守るべき大切な女(ヒト)。
なんがなんでも守らなければならない家族。
そして、俺達の子供。
麻里は自分よりも、子供を優先させるだろう。
俺にとっては、どちらも……。
幕引きは、俺がやる。
忘れてはいけないのはもう一人の男――彰もだ。
アイツは、自分の手を汚さないはずだ。
きっとあの2人は繋がっている。
今も、俺らを見て笑っているだろう。
高みの見物は、そこまでにしておけ。
近いうち、あいに行くから……。
マリーゴールド 花言葉…絶望 嫉妬
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