SIDE 京
麻里に紹介された彼女の彼氏は、私の理想のタイプに一致していた。
彼女に紹介されたのは、大学3年生の夏に入った頃。
街でお互いに買い物途中に会った事がきっかけだ。
そこで簡単にあいさつして終わっただけで、会うことはなかった。
麻里の話から、察する事はできた。
いつからか、麻里の話を聞いて自分に置き換えていた。
あぁ、私、友達の彼氏が好きになってしまったんだ。
でも、あの二人が別れる事はない。
今田さんの麻里に対する態度を見て…お互いにお互いしか目に入っていない感じがした。
それから、3年が終わり転機が訪れた。
今勤めている会社の説明会に行ったら彼がいた。
彼がこの会社が第一希望であることを知った。
私は、同僚になれば彼の側にいられると思った。
だから、この会社を受けた。
そして、お互いに内定を貰った。
新人研修、配属が決まって、廊下で会えば話すし、同期会でも同じだった。
だから、私達が付き合っているという噂がたっても不思議じゃなかった。
お互いに否定すれば、余計に話が大きくなると解っていたから、ほって置いた。
いつの間にか、私達は公認カップルとなっていた。
そんな風になっても、私達は友達でしかなかった。
彼には、麻里という最愛の彼女がいるから。
噂になっても、私に対して巻きこんでごめんというばかりで私を自分の彼女の親友と言う枠からだすことはなかった。
麻里との関係も、面倒になってきた。
そんな時に聞いた彼の海外出向の話。
一応期限は、決まっているけど延びるかもしれない。
だから、麻里にプロポーズして一緒に来て欲しいと言うつもりだと彼から聞いたとき、悪い考えが浮かんだ。
まぁ、簡単に言うと魔がさしたというべきか。
麻里にありもしない話を吹きこんだ。
そして、彼女が彼に別れ話をするように仕向けた。
調度その時、麻里は会社の同僚に付き纏われて困っていたから。
だから、彼に被害が及ぶ前に一度別れたら?って。
その後、彼は一人で飛びだった。
見送りに来なかった麻里。
それでも彼は、麻里に伝言を頼んだ。
私は、伝えなかった。
そして、そのまま連絡をとらないようにした。
そのまま日が過ぎた。
連絡を取らなくなって1年が過ぎた頃、高校の同窓会の葉書が届いた。
そこで、同窓会に行った所で、麻里が行方不明である事を知った。
両親もどこに麻里が住んでいるか知らないかしく、月に2、3回くる手紙で元気な姿を拝見する事しか出来いという事を知った。
両親も消印を頼りに探すが、毎回違う所からで消息を掴む事はできないそうだ。
両親が集めた情報によると彼女は、今田さんが飛び立った1ヶ月後に会社をやめていた。
麻里は、今どこに…。
もう今田さんは、帰ってくるのに……。
私が何をしたって言うの?
ただ、彼を好きになっただけ。
なんでこんなに罪悪感に悩ませられなきゃいけないの?
やっと、彼が帰ってくるの。
私の彼が……。
待ちくたびれたの。
同僚が祝福してくれるわ。
きっと、プロポーズされるだろうって。
だから、あなたが出て来たら困るのよ……。
ここまで、上手く行ってたんだから。
SIDE 彰
いつの間にか、視線で追っていた彼女。
親友の彼女として俺の前に現れた。
俺の“獲物”として……
きっかけがなにかわからない。
俺の目に認識されたのはいつからだったろうか?
誠司が付き合っている女がいるのは知っていた。
でも、俺には会わせてくれなかった。
冗談で「彰を好きになったからって振られたら困るから…。」と言っていた。
でも本当は違っていた。
俺が彼女を好きになることが解っていたからだ。
大学も卒業に近づき、サ−クルの飲み会があり誠司が少し席を外した時に、携帯に貼っている写真を見た。
いけないと知りつつ見てしまった。
誠司は、常に携帯を離さずにしている。
それがお酒を飲まされて、すっかり開放されたんだろう。
俺は、このチャンスを逃さなかった。
そこに写っていた彼女は……。
俺が今の会社の研修でよく喋る子で、気になっている子だった。
なぁ、おまえが彼女を俺に会わせないようにしていた理由がやっとわかったよ。
俺が今まで付き合った彼女達との経緯を知っているからだろう…?
うまくやっていたつもりだったのに…。
俺は人の付き合っている女を奪うのが好きなんだ。
そのスリルを好んでいた。
だから例え親友でも奪わないと気がすまないんだ……。
悪いけど、親友という例外はないんだ。それにチャンスはいっぱいあるんだ。
俺に紹介しておいた方がよかったんじゃないか?
向こうは、知らないんだから近づきやすいだろう?
なにも知らない彼女。無性に汚してやりたくなった。
でも、出来なかった…。
けれど、彼女は消えた。
誰も行方は知らない…。
俺は必ず見つけだす。
誠司が海外出向から戻ってきてしまうから…。
麻里ちゃんが消えて2年…。
俺には、君しかいないんだ。
誠司を欺いてでも君を手に入れる。
なぁ…、
人の彼女を取ることをしても罪悪感が沸かなかった俺が、罪悪感を得ても彼女が欲しいんだ。
誠司、いいよな?
この偽りの関係を終わらせよう……。
SIDE 誠司
俺がすべてを失っても守り抜くと決めたのに…。
麻里は、なにか感情を押し殺して別れ話を切り出した。
俺は、守り抜けなかった。
海外出向の辞令が1年目にして出た。元々、海外事業に興味があり希望を出していたからその辞令はすごく嬉しかった。でも、期間が定まってなく、どのくらいで終わるか分からなかった。
麻里に付いて来てほしいと思った。
お互いに実家住まいだったため、彼女の両親にも俺の両親にも顔馴染みだったから障害はないはずだった。
でも、違った。
一番の障害となり立ちはだかったのは、お互いの友達だった。
麻里も俺も親友だと思っていたのに…。
彼らは、違った。
その事を知ったのは、麻里に別れ話を切り出されてからだ。
納得がいかず、彼女の家に寄る毎日。
麻里は、なにも言わずに、別れてくれというばかり……。
聞き出せた時には、麻里はストレスで倒れて病院のベットに横たわっていた。
彼女の両親から全てを知らされた。
有賀さんが、麻里にしていたこと。脅迫、悪戯電話……。
守ると誓ったのに…、守れなかった。
それだけではなかった。
彰も麻里にちょっかいをだしていた。まさか、二人が知り合いだと思っていなかった。しかも、同僚だなんて。
こんな偶然がありえるのか?
あいつは、俺が知らないと思っていたのだろうか?
彰は、人の女を取る事を楽しみとしていた。
だから、麻里に会わせなかった。あいつは、人の彼女を奪ってもなにも感じない男だ。
それなのに友達関係を続けてる俺もダメな男だ。
だからと言って、麻里を手放す気はない。
アレは、俺のだ−−。
それでも、俺は飛び立った。
麻里は、俺が飛びだった1ヶ月後に会社をやめた。
残して行くことは、不安だった。だから、その後お互いに話をして麻里が姿をくらます事にした。
麻里は、今沖縄にいる。ストレスを溜め込まない環境。
今度こそ、守って見せる。
そして、偽りの関係をやめよう……。
ホオズキ…花言葉 偽わり
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